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『カラマーゾフの兄弟』完読!

カラマーゾフの兄弟

 遅ればせながら、2020年を振り返る。

 昨年、唯一の目標として挙げた"『カラマーゾフの兄弟』完読"を達成した。4部+エピローグからなる全5巻、長かった...。ほぼ、通勤の往復100分の車中で読んだのだけど、居眠りしたり他の本に逃避したりの約10か月間を掛けて読破。

 端的な感想として「読んで良かった」。正確に言えば「完読して良かった」。例えれば、初マラソンを無事完走したようなものか?。タイム(内容)よりも完走(完読)できたことに満足できる。次回は(あるか分からないけど)、4時間切りのサブ4(深く理解する)を目指そうかな?・・・といったところだ。

 そもそも、『カラマーゾフの兄弟』を読もうと思ったのは、学生時代にルー・リードが「『カラマーゾフの兄弟』のような作品を作りたい」との発言を見てから。もう一つ、村上春樹が「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本」としてフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の3冊を挙げていたこと。ちなみに村上春樹は、『カラマーゾフの兄弟』のような「総合小説を書きたい」とも語っている。

 "『カラマーゾフの兄弟』完読"はなぜ試金石となるのか?。著名な作家の対談などでも話題になっていたりして、意外と達成できていない作家も多い。読後の個人的な感想は次の通り。

  1. とにかくボリュームが多い。
  2. 話の途中でスピンオフすることが多い。(外伝的な話になる。)
  3. 同じ人の名前が基本的に2種類ある。
  4. 当時のロシアの事情、歴史的背景を知っておく必要がある。
  5. 著者ドストエフスキーの当時の立場、思想、思惑などを理解する必要がある。
  6. キリスト教を深く理解する必要がある。
  7. 当時の3,000ルーブルの価値観が、現代とずれがある。(現代の価値に換算してもなお。)

 それでもなお、『カラマーゾフの兄弟』を完読するべきなのか?、個人的な意見は次の通り。

  1. ドストエフスキーが語る序章(著者より)が素晴らし過ぎる。読欲をそそる。
  2. 書かれるはずであった『重要な』第2部が、著者の死によって書かれなかったこと。更には、『カラマーゾフの兄弟』が著者の遺作であり、脱稿後のわずか数ヶ月後に亡くなってしまったこと。永遠の未完で、書かれるはずであった第2部への創造が膨らむ。
  3. サスペンス的な設定、人間関係・家族の愛憎劇、人類愛など小説としてのストーリー性。

 ・・・読後の感想を書くだけでも長編ブログになってしまう。読破できても挫折しても、やはり『カラマーゾフの兄弟』は一度は手に取るべき名著と言える。