Recorded : 1966,07,20
Released : 1967
名ジャズ・ギタリスト、ジョー・パスによるローリング・ストーンズのカヴァー・アルバム。11曲目の'Stone Jazz'のみジョー・パスのオリジナル曲となっている。
今日でもジャズ・ミュージシャンによるストーンズのカヴァーは驚くほど少ない。ビートルズのカヴァーは星の数ほどあることを思えば驚きだ。しかも、この作品がレコーディングされたのは1966年の7月。今でこそ史上最高のロック・バンドともいわれるストーンズだが、当時としてはブリティッシュ・インヴェイジョンのいちバンドに過ぎなかった時代。ジョー・パスの先見性だろうか?。
ジョー・パスはアメリカ人だから、ストーンズ史のアメリカ盤から紐解けば、1966年3月28日にアメリカ盤初のベスト・アルバム"Big Hits (High Tide and Green Grass)" [US #3]がリリースされている。ジョー・パスの”The Stones Jazz”に収録されている10曲中5曲(1, 2, 5, 7, 10)がこのベスト・アルバムにも収録されている。また、1966年にアメリカでリリースされたシングル盤からも5曲(2 [US #1], 4 [US #24], 6 [US #4], 8 [US #1], 10 [US #3])が収録されている。更には、”The Stones Jazz”録音の僅か1ヶ月前、1966年6月20日にリリースされたアメリカ盤"Aftermath" [US #2]からも3曲(3, 4, 8)が収録されており、9曲目の'What a Shame'のみが、1965年2月22日リリースの"The Rolling Stones, Now!" [US #5]収録となっている。つまりは、ジョー・パスの”The Stones Jazz”は、当時のアメリカ・ロック・チャートを席巻していた❝美味しいネタとしてのThe Rolling Stones❞を大いに利用した作品とも言える。
しかしながら、作品としては各曲ともしっかりとアレンジされているし、音の構成にも厚みがある。また、一般的には無名曲ともいえる'I Am Waiting'や、ストーンズならではのブルーズ'What a Shame'もカヴァーされており、作品としてのこだわりが感じられる。❝ストーンズの曲❞を聴くにはジャズ色が少し強すぎるとも言えるが、聴き込むほどに味が滲み出てくるアルバム。
The Rolling Stones
"Singles Collection : The London Years"
Disc 1
25. As Tears Go By
Disc 2
2. 19th Nervous Breakdown
4. Paint It Black
7. Mother's Little Helper
8. Lady Jane
The Rolling Stones
"Aftermath" [US]
1. Paint It Black
3. Lady Jane
10. I Am Waiting
The Rolling Stones
"The Rolling Stones, Now!" [US]
5. What a Shame