Jake Hanna
"...there aren't many people who can play like Jake Hanna. There are very few people in the world who can play that good."
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「・・・ジェイク・ハナのようにプレーできる人はあんまりいないね。彼のようにプレーできる人は、世界中にほとんどいないよ。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1977,10
Released : 1977
ジェイク・ハナ(ds)は1950年代から演奏を始め、1970年代中頃にはコンコード・ジャズ(Concord Jazz)のセッション・ドラマーとして多くのレコーディングに参加し、自身のリーダー・アルバムもリリースしている。
本作は、1977年にコンコード・ジャズからリリースされたスコット・ハミルトン(ts)の記念すべきファースト・アルバム。現在まで60枚以上のリーダー・アルバムをリリースし、サイドマンとしても数えきれないほどのレコーディングに参加しているスコット・ハミルトンだが、23歳のデビュー当時には、すでに彼の音が出来上がっていることがわかる。ドラムスはジェイク・ハナが務めており、その後も1992年まで幾たびもスコット・ハミルトンと共演している。
なお、チャーリー・ワッツとスコット・ハミルトンは、2019年4月26日に放映された英国放送協会BBC Fourの番組《Jazz 625 Live》で共演している。
Mickey Roker
"I met an extremely good drummer, a very underrated guy, Mickey Roker. He's very good."
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「とてつもなく素晴らしいドラマーだけど、全くもって評価されていない男、ミッキー・ローカーに会ったよ。彼は本当に上手い。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1968,03,06 / 09
Released : 1968
本作は、1968年にブルーノートからリリースされたハービー・ハンコックの6作目のアルバム。このアルバムで興味深いのは、ピアノ・トリオ+3管というオーソドックスな編成ながら、管楽器がフリューゲルホーン、バス・トロンボーン、アルト・フルートという中低音域主体の地味な楽器で偏されているところ。しかもハンコッ クは、この管楽器たちに一切ソロを取らせず、終始バックグランドに徹しさせている。ミッキー・ロッカーのドラムも、終始リズム・キープに徹している。
ちなみにジャケットの写真は、ハンコックと後に妻となるのジジ・メイクスナー。
"And in that tradition (finesse), for touch, would be Billy Higgins. Billy Higgins is the only drummer I know who can just ride a cymbal and nothing else need to go on...such a touch. He had the nearest sound to Kenny Clarke, who to me had the greatest ride."
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「トラディショナルな技巧の持ち主といえばビリー・ヒギンズだろうね。ビリー・ヒギンズは、ライド・シンバルのあのタッチさえあれば、他は必要ないと言える唯一のドラマーだ。彼の音は、私が最高のライド・シンバル使いと思うケニー・クラークと似ている。」
~ チャーリー・ワッツ ~
"I suppose as a kid I always wanted to look like and play like - Joe Morello."*
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「ガキの頃はいつもジョー・モレロのようにプレイできるようになりたかったよ。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1959,06,25 / 07,25 /08,18
Released : 1959,12,14
本作はデイヴ・ブルーベック・カルテットが1959年にリリースした名盤。アルバムとシングル・カットされた‘Take Five’がいずれもミリオン・セラーとなり、当時のジャズ界では考えられない大ヒットとなった。収録曲が全て変拍子で演奏されていることから、アルバム・タイトルが“Time Out”(「リズムから外れた」)となっている。
3曲目の‘Take Five’は、日本でも1980年代にテレビCFで使われ、ジャズ・ファン以外にもよく知られる曲となった。5/4拍子のリズムで演奏され、ジョー・モレロのドラム・ソロも聴くことができる。
Paul Motian
"I hear young drummers in London who play like Paul Motian with the Bill Evans Trio. It takes an incredible ability to play like that, and it's marvelously done, but it's all one tempo. That's what comes from not seeing these people play, because they would have stopped and played a half-time. The Bill Evans trio was an amazing thing to witness. I saw them at Shelly Manne's place (Shelly's Manne-Hole, Hollywood). They would have three independent times going at once, and it would still be one, held together by just the root note the bass was playing, or by the time that Motian was playing on his hi-hat. And the rest of it was like floating. An incredible thing to witness, I though it would actually get lost in itself. It was fantastic. You need an awful lot of taste to do that kind of thing. I think Motian and Joe Morello are the most tasteful players I ever witnessed."*
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「ロンドンの若いドラマーが、ビル・エヴァンス・トリオでのポール・モティアンのように演奏しているみたいだね。素晴らしいことだけど、モティアンのようにプレイするには相当な腕が必要だし、みんなワン・テンポなんだ。エヴァンス・トリオの演奏を観たことがないからだろうけど、彼らはストップしたりハーフ・タイムでプレイすることが出来たんだ。ビル・エヴァンス・トリオを観れたことは、本当に素晴らしいことだった。私はハリウッドにあるシェリーズ・マン・ホールで観たよ。彼らは自由な三つの『間』を同時に持ちながら、一つにすることが出来たんだ。ベースが弾くルート音や、モティアンが刻むハイ・ハットで音がまとまったんだよ。それ以外は一定してなくて流動的なんだ。それを観れたこと自体信じられないことだけど、実際に途方に暮れるようなことだった。本当に素晴らしかった。そこまでやるには、凄くたくさんの経験が必要だ。私が今まで観た中では、モティアンとジョー・モレロが一番テイストを持ったプレイヤーだと思うよ。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1959,12,28
Released : 1960
Recorded : 1961,02,02
Released : 1961,03
Recorded : 1961,06,25
Released : 1961,10
Recorded : 1961,06,25
Released : 1962,02
ビル・エヴァンス(p)は、1959年にポール・モチアン(dr)とスコット・ラファロ(b)をメンバーに迎え、ピアノ・トリオを結成した。ビル・エヴァンス・トリオは、テーマのコード進行をピアノ・ベース・ドラムスの3者が各自の独創的なインプロビゼーションを展開して干渉し合い、独特な演奏空間を演出するインター・プレイが高く評価され、ピアノ・トリオの新しい方向性を世に示した。
ドラムスのポール・モチアンも単にリズムを刻むにとどまらず、エヴァンスのインプロビゼーションに挑みかかるようなブラシ・ワークやシンバル・ワークを見せている。
このトリオで収録された『ポートレイト・イン・ジャズ』・『エクスプロレイションズ』・『サンディ・アット・ザ・ビレッジ・バンガード』・『ワルツ・フォー・デビイ』は「リバーサイド四部作」と呼ばれ、いずれも名盤として高く評価されている。
Philly Joe Jones
"Philly Joe on Milestones - one of the classic, great albums - I mean for brush playing, 'Billy Boy' is unbelievable."
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「歴史的な名盤"Milestones"でのフィリー・ジョーのプレイ、つまり'Billy Boy'でのブラシ・プレイは信じられないよ。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1958,02,04 / 03,04
Released : 1958,09,02
本作は、マイルズ・デイヴィス(tp)がモード奏法を取り入れた1958年の作品。
チャーリーが惚れ込んでいるフィリー・ジョー・ジョーンズのブラシ・ワークが聴ける5曲目の'Billy Boy'には、リーダーのマイルズは参加していない。本作を最後にマイルズ・バンドから離れることになるレッド・ガーランド(p)と、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(dr)によるピアノ・トリオによる演奏となっている。親分(マイルズ)不在の中、レッド・ガーランドのピアノがこれでもかと言わんばかりに弾けている。フィリー・ジョー・ジョーンズのドラムもそれに呼応してブラシで攻めまくる。緊張感を漂わせつつ、楽しそうにスウィングする3人の姿が想像できる。
それにしても、本作の神髄はアルバム・タイトルにもなっている4曲目の'Milestones'に尽きる。イントロ部分から、これほどワクワク期待させる曲はめったにない。キャノンボール・アダレイ(as)、マイルズ、ジョン・コルトレーン(ts)と続くソロから、最後のテーマまで緊張感あふれるリリカルな演奏となっている。
なお、フィリー・ジョー・ジョーンズは、マイルズのプレスティッジ・レコード時代末期のマラソン・セッションから生まれた俗に言う「ing4部作」"Cookin'"、"Relaxin'"、"Workin'"、"Steamin'"、にも参加している。また、コロンビア・レコード時代の初期作品"'Round About Midnight"、"Porgy and Bess"、"Someday My Prince Will Come"にも参加しており、いずれもマイルズの名盤(ジャズの歴史的名盤)として知られている。
Miles Davis Quintet
"Cookin'"
Miles Davis Quintet
"Relaxin'"
Miles Davis Quintet
"Workin'"
Miles Davis Quintet
"Steamin'"
Miles Davis
"'Round About Midnight"
Miles Davis
"Porgy and Bess"
Miles Davis
"Someday My Prince Will Come"
"Tony Williams is one of my favorite drummers... but when I saw Tony play, I didn't know where he got that. I still don't. Now you've got guys that can copy it, but when he was a young man, I'd never heard anyone dropping beats out, or coming up with those ridiculous, swirling rhythms, and the hi-hat would be another time. Sometimes you'd wonder how he was going to get to the end of the bar. I'd have stopped half way through and been completely lost (laughs), but he would pull it off. He was about 16, I think, when Miles asked him to play. Imagine someone at that age who could scare the life out of you."*
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「トニー・ウィリアムズは私のお気に入りドラマーの一人だ。・・・でも、トニーのプレイを見たとき、彼がどうやってそのテクニックを身に着けたのか分からなかった。今でも分からない。今じゃトニーのプレイを真似できる奴もいるけど、その時の彼はとにかく若かった。テンポを落としたり、渦巻くようなリズムで盛り上げたりするような奴は聴いたことがなかった。ハイハットなんて別次元だったよ。時々、彼がどうやってあんなところまで上り詰めることができたのか不思議に思うよ。私なんて途中で投げ出して、まったく途方に暮れてしまったよ(笑)。でも、トニーは上手くやってのけることができた。マイルズ・デイヴィスがトニーをバンドに誘った時、彼はたぶん16歳くらいだったはずだ。そんな若造が人の人生を左右するなんて想像できるかい。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1964,02,12
Released : 1966,01,17
1964年2月12日にニューヨークで行われたコンサートのライヴ録音。当時のトニー・ウィリアムズは若干18歳。トニーは高速のテンポと超絶のテクニックでマイルズを終始煽りまくる。それに呼応してマイルズも負けじと吹きまくり、バンド全体にもピリッとした緊張が漂っている。とにかくトニーのドラミングを堪能すべきアルバム。
トニー・ウィリアムズは1963年から1969年までマイルズのバンドで活動している。マイルズは自叙伝"Miles : The Autobiography"で、多くの共演者について辛辣なコメントを残しているが、トニー・ウィリアムズについては終始一貫、激賞している。(以下、抜粋)
"Miles : The Autobiography"
Miles Davis with Quincy Troupe
『マイルス・デイビス自叙伝』
中山泰樹 訳