Billy Cobham
"Although Billy isn't one of my favorite favorites, he's a favorite of mine."
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「ビリーは私のお気に入り中のお気に入りってわけじゃないけど、やっぱり好きだね。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1973,05,14 - 16
Released : 1973,10,01
本作は、1973年にリリースされたビリー・コブハムのファースト・リーダー・アルバム。マハヴィシュヌ・オーケストラの同僚ヤン・ハマー(p)を迎え、コブハムのパワフルでテクニカルなドラムが炸裂している。トミー・ボーリン(g)の参加により、マハヴィシュヌ・オーケストラより一層ロック色の強いアルバムとなっている。
なお、トミー・ボーリンは本作でのプレイが評価され、リッチー・ブラックモア脱退後のディープ・パープルに加入することになった。
Recorded : 1970,02,18 / 04,07
Released : 1971,02,24
"Yesternow" (from 14:00 to 23:55)
ジャック・ジョンソンは、黒人で初めて世界ヘビー級チャンピオンになった伝説のボクサー。本作は、ジャック・ジョンソンのドキュメンタリー映画のサウンドトラック・アルバムで、大のボクシング・ファンで知られるマイルズ・デイヴィス(tp)が音楽を担当している。しかし実際のところは、1970年前後にすでにレコーディングされていた音源を、プロデューサーのテオ・マセロが編集して完成させた作品である。したがって、2曲目"Yesternow"の一部に”In A Silent Way”音源が使用されていたりする。
そんな適当に仕上げられた作品にもかかわらず、やはりマイルズの創る音に間違いはない。1曲目の’Right Off’では、ビリー・コブハムが刻むロック・ビートにジョン・マクラフリンのギターが絡みつく。序盤、息を潜めていたマイルズも、負けじとオープンでクールに吹きまくる。そして18分35秒を過ぎから、マクラフリンの『あのフレーズ』がさく裂する。
この後、ジョン・マクラフリンが結成したジャズ・ロック・グループのマハヴィシュヌ・オーケストラには、ビリー・コブハムも参加することになる。
Recorded : 1972,08
Released : 1973,01,03
前掲"A Tribute To Jack Johnson"で述べたように、マイルズ・デイヴィスの下で共演したジョン・マクラフリン(g)とビリー・コブハム(d)は、さらにジャズ・ロック色を強めたマハヴィシュヌ・オーケストラを1970年に結成した(バンド名は、当時マクラフリンがヒンドゥー教の導師シュリ・チンモイに宗教的に師事しており、マハヴィシュヌという名前を与えられていたことによる)。同バンドはロックとジャズを高度なアンサンブルで融合させるだけに留まらず、インド音楽のエッセンスも加え、ヴァイオリンもリード楽器として取り入れるなどジャズ・ロック勢の中でも異彩を放っていた。
本作は、1973年にリリースされたの2作目。ジャズ・ロックのアルバムとしては異例のアメリカBillboardチャートで15位を記録し、イギリスでも初のチャート・インを果たして最高20位に達した。
ジョン・マクラフリン(g)が超絶テクで弾きまくり、ジェリー・グッドマン(violin)がそれに応える。ヤン・ハマー(key)も負けじと音を被せて、ビリー・コブハム(dr)はこれでもか、これでもか、というほど3人の音に反応している。ビリー・コブハムの、ジャズの枠だけに収まらないドラミングの神髄が聴ける。
"Ginger Baker's another one that I wanted to play like."*
- Charlie Watts -
*)"Charlie Watts' Favorite Drummers"
「ジンジャー・ベイカーのある一面は、私がプレイしたかった正にそれだ。」
~ チャーリー・ワッツ ~
Recorded : 1998,09,26-27
Released : 1999,04,06
1999年にリリースされたジンジャー・ベイカー(ds)のリーダー・アルバム。ジンジャーといえば、ジャック・ブルース(b)、エリック・クラプトン(g)と結成したロック・トリオ《クリーム》があまりにも有名であるためロック系ドラマーの印象が強いが、元々はジャズ畑のドラマーでジャズ系のアルバムもリリースしている。
本作はジンジャーとDJQ2O(Denver Jazz Quintet-To-Octet)に、マルチ・リード奏者のジェームス・カーターをゲストとして迎えた作品。内容は《モード・ジャズ》から《アバンギャルド》まで、ジンジャーのドラミングも《純ジャズ》なものからビートを強調する《ロック調》まで実に幅広い。