チャーリー・ワッツは、1991年に来日公演を行った際に行われた小川隆夫によるインタビューで、
好きなジャズ・クラブを聞かれ次のように語っている。
「好きなジャズ・クラブ?。ニューヨークの『ヴィレッジ・ヴァンガード』かな。ニューヨークに行くたびに、月曜はメル・ルイスのオーケストラを聴きに行くんだ。彼がついこの間亡くなったって聴いて本当にびっくりしたけれど、テクニック的なことなんかを随分アドヴァイスしてくれたのがいい思い出だね。」*
Village Vanguard
ヴィレッジ・ヴァンガードは、ニューヨークのマンハッタン、グリニッジ・ヴィレッジにあるジャズクラブ。1935年にオーナーのマックス・ゴードンが開店した当初は前衛芸術家の発表の拠点だった。1940年代後半からジャズのライブを行うようになり、ジャズ界の名門クラブとして知られるようになった。現在でも営業を続けており、ニューヨークで最も古いジャズ・クラブとなっている。
ビル・エヴァンス、ソニー・ロリンズ、ジョン・コルトレーンなど、ジャズ・ジャイアンツが同クラブでのライブ・アルバムを残しており、いずれも名盤として知られている。また、日本人ジャズ・ピアニストの大西順子も、同クラブでのライブ・アルバムを残している。
Recorded : 1967,04
Released : 1967
本作は、1967年4月にヴィレッジ・ヴァンガードで録音されたサド・ジョーンズ&メル・ルイス・ジャズ・オーケストラのライブ盤。
メル・ルイス(dr)は、1964年にサド・ジョーンズ(tp)と共にサド・ジョーンズ&メル・ルイス・ジャズ・オーケストラを結成した。1966年2月から毎週月曜日の夜にヴィレッジ・ヴァンガードに出演し、1978年にサド・ジョーンズがヨーロッパに移った後も、メル・ルイス・ジャズ・オーケストラとしてヴィレッジ・ヴァンガードでの演奏を続けた。1990年2月2日にメル・ルイスが鬼籍に入った後も、バンドはヴァンガード・ジャズ・オーケストラとして活動を続けている。
チャーリーは、メル・ルイスをファイヴァリット・ドラマーの一人として挙げており、「ニューヨークへ行くたびに、月曜はメル・ルイスのオーケストラを聴きに行く」*とインタビューで語っている。
Recorded : 1957,11,03
Released : 1958
モダン・ジャズ名盤の宝庫といわれる《ブルーノート・シリーズ1500番台》の1581番。ジャズの歴史的名盤の一枚に数えられ、ソニー・ロリンズ(ts)にとっても代表作の一枚でもある。
1957年11月3日、ヴィレッジ・ヴァンガードで行われたライヴを収録している。ロリンズにとって初のライブ・アルバムであり、ヴィレッジ・ヴァンガードとしても初めてのライヴ録音の舞台となった。テナー1管のトリオ編成ながら、何故か午後の部と夜の部ではリズム隊が代わっており、夜の部ではチャーリーのお気に入りドラマーの一人であるエルヴィン・ジョーンズ*が参加している。
Recorded : 1961,06,25
Released : 1961,10
Recorded : 1961,06,25
Released : 1962,02
『サンデイ・アット・ヴィレッジ・ヴァンガード』と『ワルツ・フォー・デビイ』は、1961年6月25日にヴィレッジ・ヴァンガードで録音されたライブ・アルバム。この録音からわずか11日後の7月6日、ベーシストのスコット・ラファロが交通事故で他界し、ビル・エヴァンス・トリオ(ファースト・トリオ)の最後の録音となってしまった。
ビル・エヴァンス(p)、スコット・ラファロ(b)、ポール・モチアン(dr)によるピアノ・トリオは、即興性に富んだメンバー間のインター・プレイが高く評価され、ピアノ・トリオの新しい方向性を世に示した。上記2作と『ポートレイト・イン・ジャズ』、『エクスプロレイションズ』は「リバーサイド四部作」と呼ばれ、いずれも名盤として高く評価されている。
なお、チャーリーはポール・モチアンをフェイヴァリット・ドラマーの一人に挙げており*、ビル・エヴァンスとの繊細な関係性についても語っている**。
Recorded : 1968,03,20
Released : 1974
チャーリーの《お気に入りドラマー》の一人、エルヴィン・ジョーンズが1968年にヴィレッジ・バンガードで録音し、1974年にドイツの名門ジャズ・レーベル〈エンヤ〉からリリースされた。
フリー・ジャズの演奏で、ジョージ・コールマンのサックスを、背後からエルヴィン・ジョーンズの超絶テク・ドラムがドコドコ・バシバシと煽りまくる。
それにしても、このエンヤ・レーベルらしいアルバム・カバー。エルヴィンのほとばしる汗が熱いライヴ感を伝えてくれる。
Recorded : 1994,05,06-08
Released : 1994,09,21
Recorded : 1994,05,06-08
Released : 1995,02,22
本作は日本人ジャズ・ピアニストの大西順子が、1994年5月3日から8日まで6日間連続でビレッジ・バンガードに出演した際のライヴ盤。自己のグループを率いてビレッジ・バンガードに出演した初めての日本人となった。
1967年生まれの大西は、1989 年にボストンのバークリー音楽大学を卒業しニューヨークでプロとしての活動を始めた。1993年1 月にデビュー・アルバム『ワウ』をリリースし、1994年4月にセカンド・アルバム『クルージン』をリリースした直後のビレッジ・バンガードへの出演は、彼女の実力と人気のほどがうかがえる。
トリオのメンバーは、ベースがレジナルド・ヴィ―ル、ドラムスはハーリン・ライリーが務めており、二人ともウィントン・マルサリス・セプテットのメンバーという超実力者たち。大西順子の演奏もトリオならではの緊張感を感じさせる素晴らしい演奏で、"Live at the Village Vanguard"の冠に恥じない名演となっている。